日高央の「今さら聴けないルーツを掘る旅」 vol.7

 Vol.7 Theme : 「音楽で振り返る裏原宿史

 

 以前に楽曲提供させていただいた、ちょっと変わったアイドルBiS(ショッキングなイメージ戦略で、LIVEではモッシュ/ダイブも続出したPUNKなアイドル・グループ。2014年解散)のメンバー、のぞしゃんとウイぽんが新しく始めたBILLIE IDLE®のデビューLIVEを観てきました。

 もはや説明不要のアパレル、A BATHING APE®(ア・ベイシング・エイプ。通称エイプ)創設者NIGO®氏のプロデュースということで、80年代以降の原宿ストリート感(ロカビリーからPUNK、テクノからEDM等々)がそこここに溢れた素晴らしい楽曲が並ぶ1stアルバム『IDLE GOSSIPE』からのナンバーを中心に構成されていましたが、まだアルバム一枚ということでカヴァー曲も数多く披露。TOM☆CAT「ふられ気分でRock n’Roll」やH2O「想い出がいっぱい」といったお馴染みのナンバーから、少女隊「Forever」といった隠れた名曲までカヴァーされてて印象的でした。

 その中でも特に印象的だったのが、80年代を彗星の如く駆け抜けた伝説のモダン・ロカビリーBAND、ヒルビリー・バップスのカヴァーでした。当時チェッカーズのヒットを起爆剤に沢山のロカビリーBANDがデビューしたのですが、その中でも群を抜いたソリッドさと、甘酸っぱいPOPさが他の追随を許さない格好良さだったヒルビリー・バップス……残念ながらVo.宮城さんの逝去によって本当に伝説的な存在になってしまったのですが(2004年の再結成後は断続的に活動中です)、ある意味、知る人ぞ知るグループだったので、ここら辺のチョイスのセンスは流石でした。

 しかも彼ら最大のヒット曲は3rdシングル「ビシバシ純情!」だったと思うのですが、あえてその後の4枚目のシングル「僕たちのピリオド」という、甘酸っぱさ200%増しの隠れた名曲をカヴァーしたセンスにも唸らされました。ヒルビリー・バップスはロカビリーのマナーにのっとりつつも、歌謡曲的なPOPで明るいメロディーを特徴としており、特にこの曲はモータウン風な明るく切ない失恋ソングに仕上がっており、サビのクリシェ(半音ずつ下がっていく切ない効果を出すコード進行)がさりげなく甘酸っぱいのです。リアルタイムで見聴きしていない世代にも、きっとある種の郷愁を誘う美メロは一聴の価値ありです。ちなみに筆者のフェイバリットは5thシングルで、宮城さん在籍時のラスト・ソングとなってしまった「真夜中をつっぱしれ」です。自分的<EMOい曲ベストテン>に必ず入れたくなる超名曲で、ど頭のストリングスから胸キュン必至ですよ。

 

日高さんイチ推し
「真夜中をつっぱしれ」は13曲目に収録!

ゴールデン☆ベスト ヒルビリー・バップス 

 


 
 
【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。